会社に何をさせるのかから
日本で会社を設立される理由はさまざまです。不動産を保有するため、既存の貿易やブランドの事業を日本に置くため、あるいは在留資格の基礎とするためということもあります。この目的が、会社の形態、資本金の額、事業目的の書き方、決算期の選び方までを規定していきます。したがって、登記書類の話より先に、用途を言葉にしておくほうが順序として自然です。とにかく法人格を早く取ることだけを目的に設立すると、のちに定款の変更、増資、決算期の変更といった手直しが必要になり、かえって時間と費用を要することがあります。
株式会社と合同会社
実務でよく用いられるのは株式会社と合同会社です。株式会社は社会的な認知度が高く、大企業や金融機関との取引において説明が容易な一方、設立時には原則として定款の認証を要し、機関設計や運営に関する法定の手続も相対的に多くなります。合同会社は設立と維持が簡便で費用も抑えられ、資産保有や小規模な運営が中心の場合には合理的ですが、対外的な印象や持分の設計の自由度という点で性格が異なります。いずれも外国籍の株主が全部を保有することが可能です。優劣の問題ではなく、その会社が誰と向き合うのか、将来的に外部からの出資や持分の移転を想定するのかによって、適した形が変わります。
設立時と設立直後の実務
- 商号・事業目的・本店所在地・資本金・決算期の確定
- 定款の作成。株式会社では原則として認証の手続を要します
- 資本金の払込みとその証明。非居住者からの送金は経路の事前確認が要ります
- 司法書士への設立登記の依頼と、登記事項証明書の取得
- 税務署および都道府県・市区町村に対する設立関係の届出
- 従業員を雇用する場合の、社会保険および労働保険の加入手続
- 銀行口座の開設。事業内容と資金の出所について具体的な説明が求められます
設立してから始まること
会社ができたあとは、毎期おなじ拍子で実務が回ります。記帳、決算、法人税と地方税の申告、消費税の取扱い、従業員に関わる社会保険と源泉徴収の事務です。これらは日本国内で継続的に担う人が必要で、通常は税理士や社会保険労務士といった有資格の専門家にお願いすることになります。もうひとつ、見積もりの甘くなりやすいのが銀行口座の開設です。日本の金融機関の審査は実務的で、事務所の実在、事業内容の具体性、代表者と日本とのつながり、資金の出所と流れを確認します。開設できるかどうかは金融機関ごと、案件ごとに異なりますので、説明資料を先に整えておくことが助けになる場合があります。私どもはこれらの規制業務そのものを行う立場にはなく、日程と資料を整理し、必要に応じて各分野の有資格専門家をご紹介する役割を担っています。
本稿は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務・法務・投資・入管に関する助言ではありません。制度や実務の運用は時期により変わり、取扱いはご事情によっても異なりますので、実際のご判断にあたっては各分野の有資格専門家にご確認ください。